「寸法直しは自分でします」という方の為に、「すじ消し」の方法をご紹介します。
寸法を詰める場合は良いのですが、寸法を出す場合、元の折り筋が目立ってしまいますね。
この折り筋を消すのが「筋消し」です。
この方法は、水を使うので、生地によってはシミになったり縮んだりします。
目立たないところで試して、不具合が有るようでしたら、プロに依頼して下さい。
ご自分でなさる場合は、自己責任という事でお願い致します。
この着物はプロの仕立士さんに仕立てて貰ったので、仕上げがきっちりしていて、かなり強力な折り筋が付いています。写真は、袖の袖付け部分です。
まず、白も(木綿のしつけ糸)を4本を水にぬらして、糸を指で軽くしごき水分を加減します。
糸がびしょ濡れのまま使うと、シミや縮みの原因になります。
糸を、折り筋に沿って置きます。
これは、表からやっていますが、裏からの方が無難かと思います。
糸の上を軽く鏝(こて)でなでます。この時、押さえると糸の跡が着物に付いてしまうので、押さえないで「糸の上を軽くなでる」ようにして下さい。
水分が蒸発してジュジュっと音がします。
その時に折り筋の所に水分が付くわけです。
鏝でなでたら糸を取り除きます。
写真では、糸が折り筋からずれてしまいました(~_~;)
次に、当て布の上から鏝をかけます。
裏から掛ける場合は、当て布は要りません。
折り筋はきれいに消えました。若干縮みましたが、殆ど目立ちません。
うっすら白っぽい線は、摺れで生地が白くなった部分です。
仕立士さんは、きっと、プロ仕様のおも~いアイロンでしっかり仕上げをしたのですね。
左下の折り筋は袖振りの絎けのあとです。
今回は仕上がると、この筋は隠れてしまうので消しませんでした。
ついでに、もうひとつご紹介します。
着物を脱いだら、お尻の辺りにくっきりシワが...ということありますよね。
そんな時、スチームアイロンはNGです。
絹は、デリケートな繊維です。大切に扱いましょう。
では、シワの伸ばし方です。
白い絹の羽二重(胴裏)に、霧吹きを軽く吹きかけて湿らせます。
その布をシワの部分に当てて、その上からアイロンをかけます。
アイロンの温度は絹に合わせて、スチームはOFFにして下さい。
霧吹きのコツは、当て布を左手で持ち上げておいて、霧吹きを動かしながら掛けて下さい。
びしょびしょにしてはいけません。湿らす程度です。
着物に霧がからないように、着物を置いて有る方向を避けて、シュ~っと霧吹きを動かしながら掛けて下さい。
なぜ、当て布が、絹の羽二重かといいますと、手ぬぐいやさらしは布が厚いので水分を含み過ぎてしまうのです。
水分が多いとシミや縮みの危険が増します。
洗い張りした、不要の羽二重で構いませんので、水洗いして糊気を落として使って下さい。
色ものは、色落ちするといけないので避けた方が良いです。
古い羽二重も、あまり、シミや汚れが有る物は避けた方が良いでしょう。
濡らす事によって、着物にシミ汚れが移ってしまっては、大変です。
この時も筋消しと同様に、シミや、縮みが出ないか目立たない部分で試してからにして下さいね。
あくまでも自己責任でお願いします。
参考になりましたでしょうか?
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へえー、そうやればいいんですか。
返信削除思わず出た言葉です。
スジ消し。知りませんでした。
「あと数センチ、数ミリなんだけどこのきつい折り目どうにかならないかな。プロの店などなかなか近所にないし(呉服屋のチェーン店はある)自己責任はわかったうえでたったこれだけをどうすれば」
など思っていました。
しつけ糸ならしたい部分だけと言う調整ができるし、縮みが激しいと聞くちりめんなど怖かったので帯揚げのしわなどから練習に取り掛かってみます。
本当にありがとうございました。目からうろこが幾つ落ちたか。
帯のすじけしをなさったことはありますか?中古で買った夏子袋帯がお太鼓の部分まで2つ折のすじがついていまして筋消しに出すべきか工夫をして自分でやってみるかと迷っているときにこちらに遭遇いたしました。
返信削除現在娘の着物の寸法を直しているのですが片袖を付けた所でどうしても筋が気になり、まさかと思って検索してみました。
返信削除とても分かりやすく、参考になりました。
ありがとうございました。